お薬の説明
肺MAC症について
肺MAC症とは?
肺MAC症は、
MAC(マック;Mycobacterium avium
complex)とは菌の名前で、「MAC菌」が肺に感染して起こる病気を肺MAC症といいます。結核菌と違い人から人への感染はみられません。
MAC菌は、水や土壌などの身のまわりに存在するため、日常生活のなかで気づかないうちに感染します。はっきりとした原因はわかりませんが、中高年のやせ形の女性に多くみられます。
肺MAC症の治療について
肺MAC症の治療は、自覚症状を改善すること、病気の進行や悪化を防いで、将来、重症化させないことを目的に行います。
抗菌剤による治療が基本で、最初は、飲み薬による治療からはじめますが、効果がみられない場合、注射や吸入による治療を検討します。
治療期間は、MAC菌が消えるまで治療を継続し、菌が消えたあとも1年以上継続することが推奨されています。
アリケイス吸入療法について
アリケイス吸入療法とは
アリケイスは、新しいタイプの肺MAC症のお薬で、専用の吸入器「ラミラ」を用いて1日1回吸入します。治療をはじめるにあたっては、入院、あるいは外来で使い方の手順や、お手入れの方法などを学びます。
MAC菌による
アリケイスの作用
アリケイスの成分は、アミカシンというアミノグリコシド系の抗生物質で、お薬の表面にリポソーム化という独自の技術による加工がされています。
リポソーム化されたアリケイスと、専用の吸入器「ラミラ」によって、肺の奥までお薬が届きます。
アリケイスは、MAC菌に感染しているマクロファージという細胞に入り込み、MAC菌に作用します。
アリケイスの治療を受けることができない
(注意が必要な)患者さん
アリケイスの成分や、アミノグリコシド系抗生物質、バシトラシンに対して、過敏症を起こしたことのある患者さんは治療を受けることができません。
また、次のような方は、主治医と相談します。
- 難聴などの聴覚障害(第8脳神経障害)がある、疑いのある方
- 重症筋無力症 などの神経筋障害がある、疑いのある方
- 腎機能障害がある方
- 妊娠している、妊娠している可能性がある、授乳中の方
- 小児
- 高齢者(一般に生理機能が低下しているため)
アリケイスの治療を受けるにあたっての注意点
- 他の医師にかかったり、薬局などでお薬を購入する場合は、アリケイスによる治療を受けていることを必ず伝えてください。
- 他のお薬やサプリメントを服用している(服用する予定がある)ときは、治療前に必ず医師や薬剤師に伝えてください。
副作用
次のような症状や異常がみられたら、医師、薬剤師、看護師などに連絡してください。
特に注意が必要な副作用
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過敏性肺臓炎 〔2.7%〕 - 主な症状:乾いたせき、息切れ、発熱、呼吸困難、だるい、発疹
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気管支痙攣 〔21.5%〕 - 主な症状:せき、ゼーゼーする、息切れ、呼吸が苦しい
- 薬による聴覚障害(第8脳神経障害)〔15.1%〕(めまい、耳鳴、難聴など)
- 主な症状:聞こえにくい、耳の中で雑音(ピーやキーン)がする、耳がつまった感じ、ふらつき
- 急性腎障害〔3.2%〕
- 主な症状:むくみ、尿量が少ない、だるい、食欲がない、吐き気や嘔吐
- ショック、アナフィラキシー〔頻度不明〕
- 主な症状:不快感、口内異常感、ゼーゼーする、のどがしまった感じ、めまい、耳鳴、発汗
主な副作用(5%以上の発現率)
- 発声困難
- 主な症状:声がかすれる、声が出しにくい
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咳嗽 - 主な症状:せき、たん
- 呼吸困難
- 主な症状:せき、たん、息切れ、呼吸が苦しい
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喀血 - 主な症状:せきをしたときに血が出る、たんに血がまじる
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口腔咽頭痛 - 主な症状:口の中が痛い
- 疲労
- 主な症状:体がだるい、食欲がない
- 耳鳴
- 主な症状:聞こえにくい、耳の中で雑音(ピーやキーン)がする